十勝千年の森
地球環境を第一に考えた森づくり
広大な十勝千年の森に、立ち乗り式電動二輪車セグウェイが走っている。この大自然の中に、セグウェイが溶け込んでいる。そもそも、この十勝千年の森とは、十勝毎日新聞社のグループ企業であるランラン・ファームによって運営されており、実は、親会社の新聞事業こそが十勝千年の森の背景にある。十勝毎日新聞社取締役も務める林氏はこう説明する。「十勝毎日新聞社では、毎日約9万部の新聞を発行していすが、それだけの新聞をつくるためにはどうしても大量の紙、つまりその原料となる大量の木を消費することになります。森林は二酸化炭素の重要な吸収源であり、新聞制作で使用する紙を炭素含有率で木に換算すると、およそ1,100ヘクタールの森林があれば、失われた木々に本来固定されるはずだったCO2を相殺できるのです。これは「カーボン・オフセット」という考えで、現在の森の面積は 400ヘクタールですが、ゆくゆくは部数に見合うだけのスケールを目指し、森づくりに取り組んでいるわけです。」
セグウェイが森に誘導してくれる
こうした環境を考えた森づくりの一方で、十勝千年の森は地域振興にも力を入れ、ここに新たな観光資源として加わったのが、セグウェイを使った森のガイドツアー。これまで用意されていたツアーは、ガイドスタッフと一緒に森の中を歩いて回るコースのみだったが、「セグウェイガイドツアー」は移動が快適な上にセグウェイに乗ること自体も楽しく、徒歩による散策とは一味違った魅力で来場者から好評を得ている。
セグウェイに乗るということ自体もひとつの目玉にはなるが、そのセグウェイを使って森に誘導するというのが最大の目的だという。セグウェイは排気ガスはもちろん出さないし、タイヤが道を踏み固めることもしない。
千年の森ではなくセグウェイの森?
当初、社内でセグウェイ導入の話をしたところ、反応は今ひとつだったという。これまで実際に触れたことがない乗り物であるだけに、セグウェイが森の中でどのように機能していくのかイメージするのは難しく、一部には「森が破壊されてしまうのではないか」という声もあった。しかし担当者が実際にセグウェイに乗ってみてそのイメージは一変。「セ グウェイに乗りながらしっかりとガイドもできるし、自分の足で歩くように自由に動き回れるのですから。やはりセグ ウェイの楽しさは乗ってみないと分からないところがありますね」林氏自身は「セグウェイは一回乗って終わりということではなく、乗れば乗るほど楽しさが増してくるものですし、何度も森に来ていただいて、いろいろな楽しみ方をしていただけると思っています。試乗ツアーでのお客様の反応もよく、ほとんどの人がまた乗りに来たいとおっしゃってくれました」と評価している。